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『うぅ』としか鳴けない
第16章 結婚への道のり〜母の思い〜
父が書斎に篭っていた頃、母は灯子に、知っていた事実を話そうと考えていた。

ちょうどその時、父もまた、灯子の部屋へと向かっていた。

父が部屋を出て、しばらくして、灯子も眠りに就こうとしたその時、母が部屋をノックした。

『お母様、どうなさったの?』

『話をしてもいいかしら…』

『えぇ。』

母は、今までの心痛を語った。

『ごめんなさい…』

灯子は謝ることしかできなかった。

『何度も、お父様と話そうとしたの。でも、灯子の入れ墨のことを言う勇気が無かったのよ…不甲斐無い母でごめんなさいね、灯子…』

母が不用意に言うことで、娘の結婚が破談になるくらいなら話さない方がいいのではないか、という母の迷いは、灯子にも痛いほど伝わった。




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