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『うぅ』としか鳴けない
第17章 結婚への道のり〜許諾〜
不安に胸が押し潰されそうになって、躯中の震えに苦しんでいたのは、つい一時間前のこと。

今は、世界中の幸せを我が物にしたような喜びに溢れている。


『こんなにはしゃぐ灯子を見るのは、子供の時以来だな。』

『そうね、幸せを独り占めにしたような顔をしているわ(笑)』

『私は、初めて見ました。びっくりですが、私も彼女と同じ気分です。…あ…すいません!』

『なに、謝ることはない(笑)さあ、何を食べようか。』


ここは、ファミリーレストラン。灯子の両親にとって、初めて訪れる飲食店だ。

『お父様は煮魚のセットがよろしくてよ。お母様は、そうねぇ…パスタはいかが?』

次々とメニューを決める灯子。

主はステーキセット、灯子はドリアといった具合い。

ドリンクバーの説明をしながら、終始、嬉しそうな灯子だった。



『あなた…これでいいのよね…』

『ああ。灯子のあの顔を見て、良くないとは言えないな。』

『そうですね。』

いよいよ嫁に出す、親の一抹の淋しさだったのだろう。



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