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『うぅ』としか鳴けない
第1章 灯子 第一章 M志望
指定された場所に、指定された姿で、私は本当に立っていた。

『お客様のお呼びだしを致します。〇〇町からお越しの芝崎灯子様、お連れ様が……』

『私?私のことね。』

呼ばれた場所はたぶん、ここね…



『貴女が灯子さん?』

声をかけてきた人は、背の高い、体育会系の男性。

『…は、い。』

『ほんとに来るなんてね。まあ、コーヒーでも飲もうよ(笑)』

宝くじに当たるくらい、ラッキーだった、らしい。

普通に危ないのだそうだ。まして、灯子のように、名前も年齢も何でもほんとのことを言う「マヌケ」は、お金だけ取るとか、回されて病気になって捨てられるとか、犯罪に関係したりするらしいのだ。


『俺は、金崎琢磨(かねさきたくま)35歳。S歴17年。職業、IT関連の一応社長、世間で言うところの青年実業家。婚歴無し。で、灯子は?』

『世間で言うところの?…お嬢様です…』

灯子は、家や親のことは話したくないと言った。

『心、病んじゃってるんだ…。いいよ(笑)少し付き合ってみる?』

『え?えぇ。お願いします。』

『灯子のこと、知りたくなったよ。』


2ヵ月ほど、普通に映画や、ドライブ、食事などのデートを重ねた。




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