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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第2章 巻の壱ー槇野のお転婆姫ー

時と共に少しずつ風化してゆく祐次郎の想い出が泉水には哀しかった。自分はこれからの生涯、もう誰にも嫁がぬのだと決めたのは、確かに祐次郎の存在もあっただろう。それに、槇野の姫と婚約した男には不幸がついて回る―なぞという下らぬ噂がいつしか囁かれるようになったのは、祐次郎の病死後まもなくであった。
―あのお転婆姫には、物の怪が憑いておるとのことじゃ。大切な跡取りを物の怪に喰らわれは大変、お家大事、若君大事とあらば、槇野の姫には近づかぬが良い。
―あのお転婆姫には、物の怪が憑いておるとのことじゃ。大切な跡取りを物の怪に喰らわれは大変、お家大事、若君大事とあらば、槇野の姫には近づかぬが良い。

