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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第20章 《巻の弐―予期せぬ客人―》
 呟くと、遠い眼になる。その眼は膝の上に乗った純白の花に向けられているが、その実、何も映してはいないだろう。河嶋が今見つめているのは、もうとうに過ぎ去った二十数年前の日々に違いない。
「景容院さまと殿は、どのような親子でいらっしゃったのであろうか。私はまだ景容院さまとは親しくお話することもないゆえ、そのお人柄もよくは判らぬが」
「それは―」
 河嶋が口ごもった。
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