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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第21章 《巻の参―秘密―》
「いいえ、殿のお母君は何と申しても景容院さまにございます。河嶋は所詮は乳母、実の母君さまならではの殿のお小さい頃の想い出話がお伺いできるものと愉しみにして参りました」
「そなたも存じてはおられようが、わらわが榊原の屋敷を出て、ここに移り住んだは泰雅どのが十二のときのことじゃ。以来、泰雅どのとわらわは離れて暮らして参った。そんな母に今更、何を語れと申すのやら」
 先刻までの機嫌の良さはどこへやら、まるで突き放したかのような冷淡な態度である。
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