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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第21章 《巻の参―秘密―》
既に六十二歳になりながら、一向に隠居する気もなく、かといって、世子を定めようともしなかった。そんな家宗公の一連の行動の裏に、我が血のつながりし子に将軍職を―という儚い希望が存在したことを、泰雅は知らない。ひとたびは諦めた我が子に将軍職を譲るという夢を家宗公が再び抱き始めたのは、やはり泰雅の存在のせいに他ならなかった。
逢う毎に聡明に逞しく成長する我が子の姿に、家宗公は、一度はおさめたはずの望みを抑えることができなくなったのだ。
逢う毎に聡明に逞しく成長する我が子の姿に、家宗公は、一度はおさめたはずの望みを抑えることができなくなったのだ。