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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第21章 《巻の参―秘密―》
「妻だからこそ、知られたくないと思うことがある。惚れた女には男として知られたくないことがあるのだ。―そなたにだけは知られなくはなかった、泉水、そなたにだけは」
泰雅の声が揺れた。
深い瞳がふと、哀しみの色に翳った。
「そちは俺を蔑みはせぬのか? 俺は不義の子なのだぞ? 親子ほども歳の離れた伯父と姪の―、しかも仮にも義理とはいえ一度は父子の間柄となった男と女の間に生まれた子だ。まさに、生まれながらに呪われた子だった。あまりにもけがわらしい」
泰雅の声が揺れた。
深い瞳がふと、哀しみの色に翳った。
「そちは俺を蔑みはせぬのか? 俺は不義の子なのだぞ? 親子ほども歳の離れた伯父と姪の―、しかも仮にも義理とはいえ一度は父子の間柄となった男と女の間に生まれた子だ。まさに、生まれながらに呪われた子だった。あまりにもけがわらしい」