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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第21章 《巻の参―秘密―》
そして、母がどうして自分にこんなにも冷たいのか。その理由も自ずと知れた。自分は母に憎まれて、当然だ。自分さえこの世に生まれてこなければ、母は苦しむことはなかったであろうから―。
すべては自分のせいだ。自分という存在そものが母を、優しかった父を苦しめ、不幸に陥れた。泰雅は絶望のどん底に落ち、我と我が身を責めた。本当は泰雅には何の罪も責任もないというのに、十五歳の彼はひたすら己れの存在を呪い、その出生の秘密を恥じた。
すべては自分のせいだ。自分という存在そものが母を、優しかった父を苦しめ、不幸に陥れた。泰雅は絶望のどん底に落ち、我と我が身を責めた。本当は泰雅には何の罪も責任もないというのに、十五歳の彼はひたすら己れの存在を呪い、その出生の秘密を恥じた。