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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第23章 《巻の壱―夢―》
一方の泰雅は時の将軍家とも血続きになるという高貴な血筋でありながら、二十五歳になるまで独身であった。というのも、泰雅は無類の女好き、名うての遊び人として通っていたからだ。光源氏の再来と謳われるほどの艶(あで)やかな美男であり、泰雅が微笑みかければ、すべての女が落ちるとまで云われていた。
泉水は十一の歳に許婚者を亡くしている。以来、泉水と関わり合った男は皆、世を早めるという根も葉もない無責任な噂が流れ、泉水もまた一生涯誰にも嫁がぬとひそかに思い定めていたほどであった。
泉水は十一の歳に許婚者を亡くしている。以来、泉水と関わり合った男は皆、世を早めるという根も葉もない無責任な噂が流れ、泉水もまた一生涯誰にも嫁がぬとひそかに思い定めていたほどであった。