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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第23章 《巻の壱―夢―》
そんなところをもって、乳母の時橋は泉水が〝姫らしくない〟と嘆息するのだ。自分を殊更女だと意識したことのない泉水ではあったけれど、大好きな泰雅から改めてそう言われると、やはり女としては哀しいものがある。
「な、一度で良いのだ、その可愛らしい口で俺に愛の科白でも囁いてみぬか。さすれば、時橋には閨での話は一切内緒にしておいてやるぞ?」
そこまで言われて、泉水は覚悟を決めようと思ったのだが、やはり、すんなりと口にはできぬ言葉であった。
「な、一度で良いのだ、その可愛らしい口で俺に愛の科白でも囁いてみぬか。さすれば、時橋には閨での話は一切内緒にしておいてやるぞ?」
そこまで言われて、泉水は覚悟を決めようと思ったのだが、やはり、すんなりと口にはできぬ言葉であった。