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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第24章 《巻の弐―夢を売る男―》
全く、この人通りの多さは尋常ではない。こんな往来に小さな子ども一人で放り出すなんてと、泉水は憤慨めいた気持ちを抱きながら駆け出していた。
年端もゆかぬ幼子が一人で泣いているというのに、道行く人は誰も声をかけるどころか、振り向こうとさえしない。これだけの多くの人が歩いている天下の往来での出来事なのに、何と薄情な人々の多いことか。
「江戸っ子気質も落ちたもんよね。泣いている子どもをろくに気にかけてやる人もいないっていうんだから」
年端もゆかぬ幼子が一人で泣いているというのに、道行く人は誰も声をかけるどころか、振り向こうとさえしない。これだけの多くの人が歩いている天下の往来での出来事なのに、何と薄情な人々の多いことか。
「江戸っ子気質も落ちたもんよね。泣いている子どもをろくに気にかけてやる人もいないっていうんだから」