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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第24章 《巻の弐―夢を売る男―》
 門前の小道は昼間とてなお人通りもなく、広い境内地が賑わうのは月に一度の縁日市と年に一回の〝大祭(たいさい)〟、更に花見時分のときくらいのものだ。縁日市は開祖の浄徳大和尚の月命日に行われ、あまたの露店が出て、参詣客で溢れる。大祭はその大がかりなものであり、例年秋、あまたの僧侶が金堂で読経を捧げた後、紅白の餅を参詣客に向かって投げる。中でも〝寿〟、〝福〟、〝浄〟、〝徳〟の文字が入った餅を得た者はその一年の幸を約束されると云われている。
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