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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第24章 《巻の弐―夢を売る男―》
そこには、やはり、世間から後ろ指をさされるような、あまり子どもの耳には入れたくない経緯があるのではないかとも思える。男女の機微やそういったことにはとんと疎い泉水でさえ、おはるにの突然の出奔には訳ありのような気がしてならない。もし、万が一、そこに男の存在があるのだとしたら―。真実を知ることが、おつやのためになるとは一概には言えまい。ひたむきに母を信じようとする、おつやの無垢な心を傷つけることにならねば良いが、と、泉水は一抹の危惧を抱かずにはおられなかった。