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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第25章 《巻の参―真(まこと)―》
突然訪ねてきた泉水に対しても、嫌な顔もせずに丁寧に応対してくれたし、おはるについては知っているということはすべて教えてくれた。おもんの良人は日本橋で小さな煮売り屋を営んでいるそうだ。店とはいっても、橋のたもとに葦簀張りで周囲を囲っただけの簡素なもので、昼間はずっと、そちらにいるという。十年前に女房を亡くし、寡夫暮らしの身であったのが、おもんの勤める縄暖簾に客として通うようになり、おもんと出逢った。