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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第25章 《巻の参―真(まこと)―》
私は幸いにも亭主と知り合って早い中に、うちの人に倅がいることを話しました。けれど、おはるちゃんは、どうしても言えなかったんだと思います。それはもちろん、勇気を出して打ち明ければ良かったんだと思いますが、もし子どもがいることで、相手の人の気が変わったらと迷ったんでしょうね。
泉水は、そろそろ濃くなってきた夕闇を映した川面をぼんやりと眺めていた。夕風が川面を渡る度に、傍らの桜の樹がざわめく。まるで何かを語りかけるように、さわさわと緑濃い梢を揺らす。
泉水は、そろそろ濃くなってきた夕闇を映した川面をぼんやりと眺めていた。夕風が川面を渡る度に、傍らの桜の樹がざわめく。まるで何かを語りかけるように、さわさわと緑濃い梢を揺らす。