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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第25章 《巻の参―真(まこと)―》
―亭主が死んじまって、頼る人も何もない世間に放り出された私は、どんなことをしてでも、生きてゆくしかなかった。それも、私だけじゃない、私には娘もいたし、おっかさんもいた。生きるためには、どんなことでもしましたよ。本当に、地獄のような毎日だった。そんな時、今の亭主が現れたんです。あの人は私にとって最後の頼みの綱でした。地獄に堕ちた亡者に仏さまが下された蜘蛛の糸のように、あの人が私を救いに来てくれたのだと思いました。