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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第2章 巻の壱ー槇野のお転婆姫ー

世の中にはいつの時代にも物好きというか、奇特な人がいるもので、その物の怪憑きと評判の姫を妻にと申し込んできた人物があった。それが良人となった榊原(さかきばら)泰(やす)雅(まさ)である。榊原家は無役ではあるが、初代家康公以来の譜代の名門で由緒ある家柄、しかも五千石取りの直参である。当主の泰雅は二十五歳、若いけれど英邁な人物として定評があった。しかも、泰雅の生母は当代の公方さまの姪に当たる。将軍家とも血続きの男でもあった。

