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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第3章 《巻の弐―運命の悪戯―》
「心配をかけて済まなかった。許して」
 泉水はそう言うと、時橋と視線を合わせようともせず奥の部屋にこもった。
 何故か無性に眠りたかった。眠れば、何もかも忘れられる。あの男のことも、生まれて初めて知った恋の相手が実は良人であったことも。
「疲れたゆえ、少し寝みたい」
 ひと言だけ言うと、時橋が急いで腰元にのべさせた夜具に入り、ほどなく眠りに落ちた。

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