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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第25章 《巻の参―真(まこと)―》
図らずも、夢五郎から貰った夢札は、ある意味で真実を言い当てていたともいえる。夢五郎に出逢う前から、夜毎見ていた奇妙な夢。闇の中で泣いていた女の子は、おつやそっくりだった。
そして、夢五郎の夢札には、咲き誇る藤の花と幸せそうに寄り添う親子の姿。その中の小さな女の子は、どこか、おつやに似ていた―。
漸く訪ね当てたおはるの住まいには、内職の紙細工の花が咲いていた。その花は、薄紫と白のふた色の藤の花だった。