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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第29章 《巻の壱―すれちがい―》
 泉水の眩しい笑顔を見つめる度、泰雅は思うのだった。だが、時折、泉水を腕に抱いていても、ふっといなくなりそうな―、朝、めざめたときには、この女が淡雪のように儚く消えているのではないか。
 そんな埒もない不安を感じるようになったのは、いつの頃からだったろう。
 その夜、泉水はいつものように泰雅を寝所に迎えた。初めて結ばれて以来、泰雅は毎夜のように決まって脚を運ぶ。泉水にとっては、良人を閨に迎えるのは、いつまで経っても慣れぬことに変わりはない。
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