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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第29章 《巻の壱―すれちがい―》
「お方さま、どうかもうお嘆きあそばされませぬように。私は何があったとしても、お方さまをお信じ申し上げておりますゆえ、そのようにお哀しみなさらないで下さりませ」
―殿もいつかはきっと、お方さまのお心を察して下さいましょう。それゆえ、お心を安んじて、その日をお待ち致しましょう。
 そう言ってやれることができれば、時橋はどんなに良かったろう。
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