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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第29章 《巻の壱―すれちがい―》
 それは、本当に予期せぬことであった。その夜の自分がいつもと、どこでどう違ったのすら判らない。ただ、ふと我に返れば、男の膝に大きく脚をひらいて座り、あられもなく腰をくねらせる女がいた。認めたくもないけれど、その淫らな女が自分だった―。
 泰雅の上にまたがり、媚態の限りを見せる泉水を泰雅は満足げな表情で見つめていた。その冷めた眼に浮かぶ暗い愉悦と情熱を見た時、泉水は眼前が真っ暗になった。
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