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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第31章 《巻の参―新しい生活―》
幸いにも脇道を少し歩いたところで枝分れした小道を更に辿ってゆくと、小さな村があった。江戸からも適度に離れており、ひっそりとした農村は女一人がささやかに暮らすにはふさわしかった。
泉水は村外れの空き家を借りた。板の間と続きになった六畳の部屋が二間あるだけの、至って粗末な藁葺き屋根の仕舞屋であった。それでも小さいながら内風呂がついているのは当時としては珍しく、夕刻になって一人で伸び伸びと手脚をのばして湯に浸かる贅沢ができる。
泉水は村外れの空き家を借りた。板の間と続きになった六畳の部屋が二間あるだけの、至って粗末な藁葺き屋根の仕舞屋であった。それでも小さいながら内風呂がついているのは当時としては珍しく、夕刻になって一人で伸び伸びと手脚をのばして湯に浸かる贅沢ができる。