この作品は18歳未満閲覧禁止です
蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第31章 《巻の参―新しい生活―》
それはともかく、寺子屋の師範の報酬はたいした収入にはならなかったけれど、村に溶け込むには大いに功を奏した。突如として出現し村に住みつくようになった泉水は〝寺子屋の女先生〟と呼ばれ、そのお陰で予想外に早く村の一員として迎えられることになった。泉水の寺子屋に通う子どもたちは大方、六歳から十歳前後で、その親たちが束脩(謝礼)として持ってくるのは、米や野菜などで、むしろ現金よりは、食物や薪の方が多かった。