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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第2章 巻の壱ー槇野のお転婆姫ー

ただ、一つだけというか、この泰雅に関してはとかくの風評があった。というのは、無類の女好きというものだった。屋敷の侍女に片端から手をつけるだけでは済まず、吉原遊廓通いはむろん、巷を堂々と徘徊し、若い女と見れば町人の娘、武家娘を問わず触手を伸ばす―と芳しからぬ噂が立っている。
果たして、その噂がどこまで真実なのかは判らなかったけれど、この縁談は当の榊原家からというよりは畏れ多くも公方さまより仰せいだされたものだと聞き、謹厳実直な父源太夫などは感涙にむせぶほど有難がった。
果たして、その噂がどこまで真実なのかは判らなかったけれど、この縁談は当の榊原家からというよりは畏れ多くも公方さまより仰せいだされたものだと聞き、謹厳実直な父源太夫などは感涙にむせぶほど有難がった。

