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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第31章 《巻の参―新しい生活―》
だが、その話を聞いてから既に三年以上の年月が経っている。元々、女衒がこの村に来て、おきくを江戸に連れていってから売ったのも、深川の同じその見世であった。無事であれば、同じ見世にいるだろう。
おきくは十年という最も長い年季奉公ではあったが、色の白い涼やかな美貌とあって、たくさんの客がついて売れっ子になった。今もまだ元気でいるとすれば、あと一年も経たぬ間に長かった年季も明ける。篤次はその年季明けの時季に合わせて江戸にゆくつもりだと話している。
おきくは十年という最も長い年季奉公ではあったが、色の白い涼やかな美貌とあって、たくさんの客がついて売れっ子になった。今もまだ元気でいるとすれば、あと一年も経たぬ間に長かった年季も明ける。篤次はその年季明けの時季に合わせて江戸にゆくつもりだと話している。