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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第32章 《巻の四―散(ちる)紅葉(もみじ)―》
 夕刻になって、篤次がふらりと思い出したように訪ねてきた。裏山の紅葉が盛りだから見にゆかないかと誘われ、共に見にいった。
 山といっても、泉水の住まいの建つ丘と大差ないほどの小山だ。その中腹に、大きな紅葉の樹がひっそりと佇んでいる。
 二人が行った時、折しも今が見頃とでも言わんばかりに、真っ赤に色づいた葉が鮮やかであった。風もないのに、時折、赤子の手に似た小さな葉がはらりはらりと散り零れる。
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