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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第4章 《参の巻―囚われた蝶―》
乳母としては、泉水がついに良人泰雅と晴れて結ばれたことには歓びと安堵を感じる一方、泣き腫らした泉水の眼はこの出来事が彼女にとって意に添わぬものであったことを示している。
時橋は深い詮索はせず、ただ泉水の命ずるままに実家に帰ると言い張る泉水に付き従った。お転婆で悪戯好きではあったが、物心ついた頃より、泉水が我が儘を言って困らせたことはない。それが一途に帰りたいと一点張りであるのには、よほどの事情があると思えたからだ。
時橋は深い詮索はせず、ただ泉水の命ずるままに実家に帰ると言い張る泉水に付き従った。お転婆で悪戯好きではあったが、物心ついた頃より、泉水が我が儘を言って困らせたことはない。それが一途に帰りたいと一点張りであるのには、よほどの事情があると思えたからだ。