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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第32章 《巻の四―散(ちる)紅葉(もみじ)―》
 咄嗟に身を隠すことを考えると、板の間とは続きになった六畳の部屋に備えついている押入れが眼に入った。その間にも、表の戸を揺さぶる音はずっと続き、曲者はなかなか開かない戸に苛立ち、力任せに押しているようだ。押しても開かないとみると、今度は蹴り始めたようで、物凄い音がしている。このままでは直に戸を蹴破られてしまう。
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