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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第32章 《巻の四―散(ちる)紅葉(もみじ)―》
もしや、という嫌な予感がする。湯殿を覗いていたのは、あれは間違いなく泰雅だった。もしや、今、表の戸を開けようとしているのもあの男なのだろうか。
―でも、どうして―。
どうして、泰雅にここが、泉水がこの村にいることが判ってしまったのだろうか。そこまで考えて、身体中の膚が粟立った。
泰雅はこのひと月の間、泉水のゆく方をずっと追っていたのではないか。泰雅の力をもってすれば、女一人の所在を突き止めることなど造作もないことに違いない。
―でも、どうして―。
どうして、泰雅にここが、泉水がこの村にいることが判ってしまったのだろうか。そこまで考えて、身体中の膚が粟立った。
泰雅はこのひと月の間、泉水のゆく方をずっと追っていたのではないか。泰雅の力をもってすれば、女一人の所在を突き止めることなど造作もないことに違いない。