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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第32章 《巻の四―散(ちる)紅葉(もみじ)―》
 まるで馬鹿にしたような口ぶりに、泉水はたまらず言った。
「もう、放っておいて下さい、私は江戸には―榊原のお屋敷にはもう戻るつもりはありません」
「なるほど、そういうことか」
 泰雅が口の端を引き上げる。何を言おうとしているのか判らず、眼を見開くと、泰雅が下卑た笑いを浮かべた。
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