この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第32章 《巻の四―散(ちる)紅葉(もみじ)―》
泰雅の側室として屋敷に迎えられようと懐妊したと言った女もいたし、たとえそこまではせずとも、大抵の女がいったん抱かれれば、泰雅の腕の中で心にもないことをいかにも真実(まこと)であるかのように甘えた口調で訴えたものだ。
「俺はお前だけは信じていた。大抵の女は俺の外見や地位だけを見ていたが、お前は違った。最初から、俺の内面を、生身の俺を見ていてくれた。なのに、お前は、俺の許を逃げ出しておきながら、こんなところまで来て、他(あだ)し男と深間になっていたんだな」
「俺はお前だけは信じていた。大抵の女は俺の外見や地位だけを見ていたが、お前は違った。最初から、俺の内面を、生身の俺を見ていてくれた。なのに、お前は、俺の許を逃げ出しておきながら、こんなところまで来て、他(あだ)し男と深間になっていたんだな」