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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第32章 《巻の四―散(ちる)紅葉(もみじ)―》
 何か言おうとして、思わず溢れた涙が頬をつたい落ちる。
「私はもう二度と江戸に戻るつもりはないのです。―永のお暇を頂きたいのです」
「そなた、自分が何を申しておるのか、判っておろうな」
 泰雅の顔色が変わる。泉水は泰雅から顔を背けた。
「私を離縁して下さいませ、殿」
「ゆ、許さん、俺は断じて認めぬ。離縁だなぞと、そなた、気が狂うたか、泉水」
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