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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第32章 《巻の四―散(ちる)紅葉(もみじ)―》
―怒らねえでくんな。
 駒吉はそう言って両手を合わせるふりをしてから白状した。というのも、駒吉は夕べは泉水の許に夜這いにいったのだという。村の若い者なら誰もが憧れ、眼をつけている泉水に、この男もまた、執心していた一人だった。
 どうにも恋情に耐えかねて、夜半にこっそりと忍んでいってみたところ、既に先客がいたらしい。だが、気になるのは、家の中から女の悲鳴や助けを求める声、泣き叫ぶ声が聞こえていたことだった。
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