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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第34章 《巻の壱―山茶花の寺―》
この伊左久は庵主光照(こうしよう)をそれこそ観音さまのように崇め、信奉していた。そんな伊左久を見て、泉水は伊左久に冗談半分で言ったことがある。
―伊左久さんのご本尊さまって、うちの庵主さまでしょ?
その質問に、伊左久は照れもせず怒りもせず、大真面目な表情で頷いた。
―儂(わし)は江戸で何度も盗みを働き、危うく町方に捕まりそうになって逃げてきた身よ。行き場がなくて、この山奥に逃げ込んで隠れていたところ、庵主さまが拾うて下された。
―伊左久さんのご本尊さまって、うちの庵主さまでしょ?
その質問に、伊左久は照れもせず怒りもせず、大真面目な表情で頷いた。
―儂(わし)は江戸で何度も盗みを働き、危うく町方に捕まりそうになって逃げてきた身よ。行き場がなくて、この山奥に逃げ込んで隠れていたところ、庵主さまが拾うて下された。