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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第34章 《巻の壱―山茶花の寺―》
「本当かしら」
 疑わしそうな口ぶりに、伊左久がにやにやしている。
「それにしても、山茶花が終わってしまうと、淋しくなりましたね」
 泉水が来た日には盛りと咲いていた花は、今はもう殆ど散ってしまった。今、小さな庭に花はない。泉水は庭を見回しながら嘆息した。
 伊左久が宥めるように言った。
「そうだな、四月には、ここのお寺はそれは見事になるぞ」
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