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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第34章 《巻の壱―山茶花の寺―》
「当分は、そのおかめにつきまとわれて、難儀したさ。マ、半年くらいで向こうもやっと諦めてくれたかな」
 そのときの伊左久の困った顔を想像し、思わずプッと吹き出すと、伊左久に睨まれた。
「まあ、それは、お気の毒に」
 と、これも光照が少しも気の毒には思ってはおらぬ口調で言い添える。
「ですが、流石の伊左久さんもそれに懲りて、少しは女と見れば後を追いかけるのを控えたのではありませんか」
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