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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第35章 《巻の弐―再会―》
世間では正月気分が漸く抜けた一月も半ばのある日の朝。
泉水はいつものように、庭を掃いていた。今の泉水の身なりはごく普通の娘姿だ。粗末ではあるが、女物の着物を着て帯を締めている。この寺に来た翌日から、光照の勧めで若衆姿は止めた。いずれ、光照を師として正式に剃髪するとなれば、墨染めの衣を身に纏うことになるが、それはまだ先のことに違いない。泉水にはまだまだ憶えねばならぬことが山ほどもあり、一体、いつ出家の許しを得ることができるのかさえ判らない。
泉水はいつものように、庭を掃いていた。今の泉水の身なりはごく普通の娘姿だ。粗末ではあるが、女物の着物を着て帯を締めている。この寺に来た翌日から、光照の勧めで若衆姿は止めた。いずれ、光照を師として正式に剃髪するとなれば、墨染めの衣を身に纏うことになるが、それはまだ先のことに違いない。泉水にはまだまだ憶えねばならぬことが山ほどもあり、一体、いつ出家の許しを得ることができるのかさえ判らない。