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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第35章 《巻の弐―再会―》
 泉水は、内心、ああやはりという想いだった。夢売りの夢五郎という名前がかりそめのものであろうとは察していた。その派手で型破りな恰好は別として、幾ら町人のふりを装っても、端整な面差しや気品を失わぬ物腰は彼の出自がけして町家ではないことを物語っていた。だが、まさか京の公卿の家の息子だったとまで流石に思いもしなかったが!
 それにしても実の母を〝あの人〟と冷たく呼ぶ裏には、よほどの事情が存在するに相違ない。が、それを今、この場で夢五郎から聞くことは到底できそうにはない。
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