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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第35章 《巻の弐―再会―》

照子は、幾松(いくまつ)と名付けられた息子の母として幸せな日々を過ごしていた。幾松が二歳を迎えたある日、良人頼継がひそかに側妾を囲っていることを知った。頼継の隠し女は町家の女で、元は色宿の女―遊女上がりだと聞いた。頼継はその女郎を身請けして、別邸に住まわせていたのである。頼継は優柔不断で、生真面目だけが取り柄のような凡庸な男であった。その男が妻である照子には内緒で側女を持っていたことに、彼女は大変な打撃を受けていた。

