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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第35章 《巻の弐―再会―》
「そのときに屋敷に置いてきた息子が頼房です。当時、頼房は二つ、私の顔すら憶えてなかったでしょう。長じて、何故、自分が母親に捨てられねばならなかったか、そればかりを考え、私を恨んで生きてきたに相違ありませぬ。それは仕方のないことです。屋敷を出て、しばらくは知り合いの寺に身を寄せ、そこで修行をしました。剃髪したのもそのときです。それから京の都を出て、ここまで流れてきて、山の上に庵を結び月照庵と名付けました。