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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第35章 《巻の弐―再会―》
そのような考え方が根幹にあったからこそ、光照は盗人であった伊左久を受け容れ、また泉水をもこの寺に迎え入れたのだろう。
そして今、泉水自身は光照のような懐の広い、どのような人でも受け容れることのできる尼僧になりたいと考えている。御仏の懐に抱(いだ)かれたことによって、この二人の女たちは他者の存在をよりはっきりと意識し、自ら他人を救いたいと願うようになったのだ。それこそが御仏の功徳というものであろうか。