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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第35章 《巻の弐―再会―》

「人生はもう二度とやり直すことはできませぬ。今頃になって、失った物の大切さを惜しんでみたところで、遅いのです。御仏にお仕えするようになったことに悔いはいささかもありませぬが、もし、現世にある時、私がもう少し大人であれば、良人や子を、そして罪なき母子を不幸にするようなことはなかったのだと今更ながらに口惜しく思います。だからこそ、私は若いあなたには私と同じ轍を歩んで欲しくはないのですよ。あなたにはちゃんと子どもを生み、手許で育てて欲しいのです」

