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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第35章 《巻の弐―再会―》
―夢五郎さん、庵主さまは、ずっとあなたを大切に思ってこられたのですよ。だから、あなたももうこれ以上、庵主さまを恨まないでね。
泉水は夢五郎にそう言いたかった。
今すぐに心から打ち解けて話すことは無理かも知れない。しかし、現に、夢五郎は光照を恨んでいると言いながらも、母のために遠路はるばる江戸からこの月照庵まで金子を届けにきている。自分を捨て去った酷い母だと心底から憎んでいるのであれば、そんなことはしないだろう。