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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第36章 《巻の参―杏子の樹の傍で―》
 夢五郎は泉水から桶を奪うように引き取ると、桶に水を汲んだ。
 満々と水を汲んだ桶を一旦地面に置き、泉水を見る。
「そう言やア、今日は珍しい客人を連れてきたんだぜ」
 夢五郎がそう言って、顎で後ろをしゃくる。
 つられるように、背後を見た泉水の眼が大きく見開かれた。
「時橋―」
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