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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第36章 《巻の参―杏子の樹の傍で―》
「ありがとうございます」
 泉水は夢五郎に深く頭を下げた。
 本当にあの男にはどれほど感謝しても足りないくらいだ。冬の夜、この川に入ろうとしていた泉水を救い、今また時橋をここに連れてきてくれた。泉水が誰よりも逢いたいと願っていた時橋を。
「あのお方、夢五郎さまとおっしゃるのですね。初めてお逢いしたのは、まだほんの二、三日前なのに、不思議な存在感のある方にございますね」
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