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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第38章 《巻の壱―別離―》
「どうしたのじゃ、そのように泣いて」
 小さな布団に寝かされた赤子が顔を真っ赤にして泣き喚いている。泉水は赤子を抱き上げると、頬ずりした。黎次郎は今、生後六月めを迎えたばかりである。生まれた直後は定かではなかった顔立ちも今では、はきとしてきて、赤子にしては愕くほど整った眼鼻立ちをしている。形の良い額や、すっきりした鼻筋、切れ長の涼しげな眼は紛れもなく美男で鳴らした父親の面影を受け継いでいた。
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