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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第38章 《巻の壱―別離―》
―これでは、頼房どのが黎次郎の父のようですね。
 と、伊左久ばかりか光照までが言い出す始末。光照は夢五郎(頼房)の実の母であった。かつて権中納言藤原頼継の室であった光照は、二歳の我が子頼房を置いて家を出て出家の身となったのである。頼房は今でも光照を恨んでいると口では言いながら、定期的に父頼継からの寄進と称する金をわざわざこの寺まで届けにきているのだ。
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