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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第38章 《巻の壱―別離―》
 満腹になった黎次郎はほどなく、すやすやと寝息を立て始めた。時橋が腕を差し出す。あどけない顔の嬰児(みどりご)をそっと時橋に渡すと、泉水は自分でも知らぬ中に吐息を洩らしていた。
「姫さま?」
 時橋が気遣わしげに訊ねる。
「いかがなされましたか?」
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